【うさぎ遺言の章 第5話 『憤怒の偶像』 】 わたしはあなたを、必ず救い出す。

 

 

 

「 こんにちは! こんばんは!」

「ぼんじゅー! ぼんそわー! やで!」

「次なる旅にようこそ! ここまでたくさんの文字を読んで、たくさんのことを考え抜いてくれて、本当にありがとう!」

「ほんまにありがとうな!! 毎回おんなじようなこと冒頭で言うとるけど、ほんまにありがとうって思ってるんや。ほんまやで!」

「そうだね。僕も同じ気持ちです。特に、ここまで全ての法陣を成してきた方には感謝と敬意でいっぱいです!」

「それじゃ、タイムイズバニーや! 早速次の法陣、『ばなな法陣』にとりかかるで! 『ばなな法陣』っちゅうのは、その形だけあって前に創」

 

「画面の前のみんなー! こっんにっちわーー★★★」

「!?」

「!?」


 

「みんなのアイドル、『セトンニュ』だよ! 今日はわたしのステージに来てくれてありがとー★★★」

「???」

「なんや、なんなんや!?」

 

「みんなに、セトンニュから嬉しいお知らせだよ! このページを見ていろんなもの創ってきたかもしれないけど、実は、もうこれ以上めんどくさいこと、なーんにもやらなくていいの★ もう十分キミは頑張ったよ! 今すぐこんな画面は閉じて、他の楽しいサイト見たりテレビ見たり仕事したり寝転んだり、もっとキミが幸せになることに時間を使ってね★」

「!? な、なに嘘っぱち言うとるんや! まだ ≪うさぎ遺言≫ は全然終わっとらへん、こっからやないか! ちゅーかお前そもそも何モンや!」

「その二重のゲート・・・まさか、君も!」

 

「ふっふーん★ なんにもウソついてないよ〜 だってそうでしょ、みんなハッピーになりたい! 誰だってめんどくさいことやしんどいことはアンハッピー! だからちょっとでも自由になりたい自分の好きなように時間を使いたい! そんなみんなの願いを叶えるのが、ユマンエンタープライズ所属、マジカルらびっとアイドル・セトンニュだよ★」

「ユマン・・・ やっぱり、前のイレスポンと同じ、ユマンの波動に魅入られた子か!」

「またユマンかぶれか。 お呼びやないんや、邪魔するんなら早よ帰ったってや!」

 

「邪魔なんかしてないよ〜! わたしはみんなのアイドル! アイドルは分け隔てなくハッピーを運ぶんだよ★ 人間にも、アニマにも、もちろん君たちにもね!」

「おもいっきりウソ並べといて何言うとるんや。 こんなことしてうちらがハッピーになれるわけあらへんやろ!」

 

「ほらほらそんな怖い目しないのッ★ 人間は人間、動物は動物、それぞれ自由にハッピーになればいいと思うんだよ! みんな、面倒なことやしんどいことはイヤでしょ? 毎日仕事や家事やいろんなことがあって大変なんだ。 そんな中で貴重な自分の時間を、こんな ≪うさぎ遺言≫ なんかに使うなんてもったいないよ! 君たちだって、人間の協力者なんか使ってアニマゲートを開くためにすっごい法力を消費してるんでしょ? 人間のことなんか放っておいてアニマ界に帰れば、もっとハッピーになれるはずだよ!」

「僕たちの幸せは、人間界の動物が少しでも幸せになることだ。それを忘れてしまったら、また不幸な動物が生まれてしまう」

「せや! ≪うさぎ遺言≫ は幸せを護るための法術や。 ≪うさぎ遺言≫ をなんとか創ってもらえれば、もっと動物は幸せに―――」

 

「ふふふ・・・

 

 

ばっかじゃないの!!!???」

「!?」

 

「人間が! あの人間どもが! 創るワケないじゃない! ≪うさぎ遺言≫ なんて面倒なもの!」

「そんなことない! ≪うさぎ遺言≫ とは形が違っても、ペットのための遺言を作っている人間は現実にいるし、何よりこうやってこのサイトを見てくれている人たちがいるんだ」

「せ、せや! うちらが頑張れば、人間やってきっとペットのために頑張って―――」

 

「そんなのほんの一握り! ましてこのページ見てる人間だって、興味本位で覗いてるだけで ≪うさぎ遺言≫ がどれだけ大事なものか全然理解してない! だから結局何もしない! 創りかけても面倒になって投げる! そうに決まってる!

 

もしも人間が命を本当に大事に思ってるなら! 動物を愛してくれるというんなら! どうして!? どうしてあんな酷い目にあわなければならなかったの!? わたしは! 『廃工場のイレスポン』は! そしてあんた、『河川敷のクロード』は!!」

「な・・・! お前、まさか・・・」

「『ボウガンのセトンニュ』・・・!?」

 

「痛かった・・・すっごく痛かったの 痛くて、辛くて、悲しくて

 

クロード! 忘れたわけじゃないでしょう!? あんただって!!」

「う、うちは・・・ そりゃうちだって・・・ せやけど・・・」

「セトンニュ! 君やあのイレスポンや、クロードが負った苦しみは本当に残酷なものだ! でも、だからといって諦めてしまったら」

 

「だまれ!! ペットの二世で最後までご主人様の傍で幸せに生きられたお前に、わたしたちの何が分かる! こんなページを作ったところで、必死にアニマゲートを開いたところで! 人間はまた私たちを『動く物』として消費するだけだ! 暇つぶしの種にするだけだ! 面倒になったら棄てるんだ! クロード、アニマ界に一緒に帰ろ? 人間のことなんか忘れてみんなで楽しく暮らそ? これ以上、あんたが、みんなが、アンハッピーを押し殺してる顔なんか見たくない! 見たくないのよ!!」

「うちは・・・ うちは・・・」

「クロード!? いけない、アニマゲートが! うさぎタグ法術!」

「・・・!」

 

「邪魔しないで!

 

・・・うまく隠したつもりかもしれないけど、諦めないからね! クロードは私たちの仲間。 これ以上、人間達の興味本位や奇異の目にさらすことは許さない!」

「・・・

 

行ったか・・・」

「画面の前のあなたには、また驚かせてしまってごめんなさい。 クロードは僕の法術でひとまず隠したんだ。なんとか僕の力を分けてまた元気にさせてみせます」

「アニマゲートというのは、僕やクロードがこの世界に影響力を及ぼすために開く窓みたいなものだよ。 僕の姿の周りに青い枠があるでしょう? これがアニマゲートなんだ。 セトンニュとイレスポンは、なぜかゲートが2つあったようだけど・・・」

「アニマゲートは、『動物からの人間への思い』の力で開くことができる。クロードはセトンニュの話を聞いて・・・ 昔を思い出してしまって、人間への信頼の気持ちが薄くなってしまったんだと思う。 だから、ゲートが薄くなって、クロード自体の力も衰弱してしまったんだ。 逆にセトンニュやイレスポンは、人間への『負の思い』でゲートを開いているのかもしれない・・・」

「クロードはいないけど、クロードの話をせざるを得ないよね・・・。 クロードは、人間に多頭飼いをされていたうさぎの子供だったんだけど、クロードが生まれて数か月後にその人間は飼育崩壊を・・・つまり、育てきれない数に自分で増やしておきながらその世話をすることができなくなって、『保健所に連れて行くのは可哀想だから』という理由で、飼っていたうさぎ達全部を『近所の大きな河の河川敷に放棄』したんだ」

「その人間としてはうさぎを自然に戻して良いことをしたとでも思っていたのかもしれない。 でも結果は悲惨だった。 人間に飼われていたうさぎが、餌も無く身を守る場所も無い場所に放逐されてまともに生きていけるわけがない。 一緒に棄てられたうさぎたちは錯乱し互いに傷つけあって酷いけがを負い、鳥や猫に襲われ四肢や耳を失い、不衛生な環境で病に倒れていった。 まだ幼かったクロードも、その中で・・・」

「『りんご法陣』のときに現れた『廃工場のイレスポン』も、さっきの『ボウガンのセトンニュ』も、同じような、いやもっと残酷な境遇を辿ったと聞いています。 みんな、言葉ではとても表せない理不尽で酷い目にあい、そして命を失った。 それは事実なんだ」

「・・・

 

ごめんなさい、ひとまず、今回はここで休憩にしますね。 クロードは簡単には復帰できないかもしれないから、続きは僕ひとりで説明するつもりです。 でも、どうか、信じてください。僕も、クロードも、そしてイレスポンやセトンニュも、人間が大好きなんです。 大好きだから、とっても大好きだから、その分だけ悲しくなってしまう・・・ どうか、みんなの為にも、≪うさぎ遺言≫ の創生を続けてほしいんです。心からの、僕のお願いです。 あなたと一緒に、旅が続けられますように」

 

 

 

 

 
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